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2010年6月23日 (水)

最新 アイフル準備書面に対する原告準備書面

大阪の弁護士です。

最近,アイフルが新しい主張をしてきました。
これに対する準備書面を公開します。
なお,まだ,校正前なので,誤字脱字は,ご容赦ください。

解説については,後日,私が開いているサイトで,ご紹介することにします。

                          原告第2準備書面

                                                            平成22年6月  日

枚方簡易裁判所民事B係 御中

                                        原告訴訟代理人弁護士 佐 野 隆 久  

 原告は,被告アイフル株式会社の第1準備書面に対して,次のとおり,認否及び反論する(以下,被告アイフル株式会社を「被告」という。)。

第1 既に認否及び反論済みの部分について
      平成22年5月27日付け被告第1準備書面の1ページから12ページ3行目の部分については,既に,平成22年4月16日付け原告第1準備書面24ページ末尾5行目から48ページ末尾3行目までにおいて,認否及び反論を行っているので,改めて,これを引用して,認否及び反論とする。

第2 「第3」について
  1 表題について
      全て否認及び争う。
  2 「1」について
    (1) 表題について
      ア 被告の主張
          最高裁判決によれば,基本契約に基づく継続的金銭消費貸借契約が終了する時点までは,貸主の「受けた利益」は確定しておらず,確定していない「受けた利益」に対しては法定利息は発生していないことについて
      イ 原告の認否及び反論
          全て否認及び争う。
    (2) 「①」について
      ア 被告の主張
          既払い乗り億制限法超過利息は借主・貸主どちらにも帰属しないこと(最高裁昭和39年11月18日判決)(以下,略)
      イ 原告の認否及び反論
        (ア) 全て否認及び争う。
        (イ) 被告の主張は,反対意見や補足意見を切り貼りして,自己に都合の良い作文をしたに過ぎない。
        (ウ) 最高裁昭和39年11月18日判決の理由以下の部分は,次のとおりである(原文のままに掲載しているので,漢数字などは原文のままである。)。
          「理由
            上告代理人岩切清治の上告理由について。
            債務者が、利息制限法(以下本法と略称する)所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法四九一条により残存元本に充当されるものと解するを相当とする。その理由は後述のとおりである。従つて、右と見解を異にする当裁判所の判例(昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三日言渡大法廷判決、民集一六巻七号一三四〇頁参照)は、これを変更すべきものと認める。
            債務者が利息、損害金の弁済として支払つた制限超過部分は、強行法規である本法一条、四条の各一項により無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する支払は弁済の効力を生じない。従つて、債務者が利息、損害金と指定して支払つても、制限超過部分に対する指定は無意味であり、結局その部分に対する指定がないのと同一であるから、元本が残存するときは、民法四九一条の適用によりこれに充当されるものといわなければならない。
            本法一条、四条の各二項は、債務者において超過部分を任意に支払つたときは、その返還を請求することができない旨規定しているが、それは、制限超過の利息、損害金を支払つた債務者に対し裁判所がその返還につき積極的に助力を与えないとした趣旨と解するを相当とする。
            また、本法二条は、契約成立のさいに債務者が利息として本法の制限を超過する金額を前払しても、これを利息の支払として認めず、元本の支払に充てたものとみなしているのであるが、この趣旨からすれば、後日に至つて債務者が利息として本法の制限を超過する金額を支払つた場合にも、それを利息の支払として認めず、元本の支払に充当されるものと解するを相当とする。
            更に、債務者が任意に支払つた制限超過部分は残存元本に充当されるものと解することは、経済的弱者の地位にある債務者の保護を主たる目的とする本法の立法趣旨に合致するものである。右の解釈のもとでは、元本債権の残存する債務者とその残存しない債務者の間に不均衡を生ずることを免れないとしても、それを理由として元本債権の残存する債務者の保護を放擲するような解釈をすることは、本法の立法精神に反するものといわなければならない。
            しかるに、叙上の説示と異なる見解のもとに上告人ら主張の弁済の抗弁を排斥した原判決は、破棄を免れない。そして、制限超過部分の残存元本への充当関係につきさらに審理を尽くさせるため、本件を原審裁判所に差し戻すのを相当とする。
            よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官横田喜三郎、同奥野健一、同斎藤朔郎の補足意見、同入江俊郎、同石坂修一、同横田正俊、同城戸芳彦の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

          裁判官横田喜三郎の補足意見は、つぎのとおりである。
            わたくしは、本判決の理由のうちで、利息制限法の立法趣旨に関する点をとくに重視するものである。これについては、昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三日言渡大法廷判決に対する反対意見として詳しく述べた(民集一六巻七号一三四七頁)から、それをここに引用する。

          裁判官奥野健一の補足意見は次のとおりである。
            私の補足意見は、昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三言渡大法廷判決(民集一六巻七号一三四〇頁)における私の反対意見と同一であるから、それを引用する。
            なお附言するに、利息制限法は高利金融に対し経済的弱者である債務者を保護するため、一定の利率を設けて、これを超過する利息・損害金の約定を禁止し、その超過部分を無効とし、その債務の存在を否定することとして、借主たる債務者を保護することを以つて、その目的とするのである。
            従つて、貸主たる債権者が右超過部分の利息・損害金の支払を請求することの許されないことは勿論であり、債務者も右超過部分の利息・損害金の支払をなす義務を負わないのである。それ故、債務者は債権者より右超過部分の請求を受けても、制限利率による利息・損害金のみの支払をなすを以つて足り、若し債権者がその受領を拒めば、これを供託してその債務を免れ得るわけである。然るに、実情は経済的弱者たる債務者は心ならずも右制限超過部分の支払を強いられるのが現状である。
            固より、超過部分の債務は無効であり、不存在であるから、超過部分の支払は非債弁済であり、本来ならば不当利得として、その返還を請求することができる筋合であるが、法は苟も制限利率を超過する約定を禁止し、これが超過部分の支払を否定する建前を採つている以上、債務者がこの禁止に違反して、敢て超過部分の支払をした場合に、これが返還請求を許容することは、法の禁止する行為を保護する結果となり、法の目的に副わないことになるから、本法一条、四条の各二項において、債務者に対してその返還の請求を認めないこととしているのである。しかし、法はこれがため、債権者に右超過部分の支払を受領する正当な権限ありとして、これを保護しているのではない、飽までも、右超過部分は無効であり、その支払は無効の弁済であることに変りはないのである。従つて、他に元本債務等の存在する限り、右弁済は民法四九一条の原則に従い、それらに充当されることを禁止するものでないと解すべきである。けだし、債権者にとつては右超過部分の支払は、もともと法律上の原因のない不当利得であるから、これを他の有効な債務の弁済に充当されても、法律上何ら不利益を蒙るものではなく、他方右支払は債務者が債務の弁済としてなしたものであり(贈与等の趣旨で交付したものでないことは明白であり)、従つて他に弁済すべき元本債務等が存在する限り、それらに対する弁済として充当さるべきであることは、前記民法の規定の明定するところであるからである。
            反対論者は、偶々他に充当すべき元本債務等の残存しない場合と比較して不公平であるというのであるが、かかる理由を以つて右充当弁済を否定して、債務者の不利益に帰せしめることは本末顛倒の論であるといわねばならない。
            また、超過部分の支払につき、一方においてこれが返還の請求を否定しながら、他方において残存元本債務等に対する弁済としてその充当を認めることは、その返還の請求を認めるのと経済的に同一の結果となり、矛盾であるとの反対論にも賛同できない。すなわち、例えば、民法五〇八条は、時効に因つて消滅した債権を以つて、その消滅前相殺に適した債務と相殺し得ることを認めているのであるが、これは衡平の原則上寔に正当であつて、これを以つて時効に羅つた債権の履行の請求を否定しながら、相殺に供することを認めるのは、その履行の請求を認めるのと同一の結果となるとか、偶々相殺に供し得る債務を有しない者と比較して不公平であるなどという非難の当たらないことは自明の理であり、これと同様に前記反対論の非難も当たらない。
            殊に、本法二条は天引利息について、制限超過部分を元本に充当したものとみなしているのであるが、これは貸借の締結に当たり、債務者が任意に(内心は兎も角として)制限超過の利息の前払をなした場合は、その超過部分は利息の有効な支払とは認めず、また、固よりこれが返還の請求をも認めず、当然これを元本の支払に充てたものとみなしているのであつて、すなわち、制限超過の利息の支払(天引すなわち前払をも含めて)は、その返還請求は許されないが、残存元本債務等に対する弁済に充当することを是認している証左と解することができる。従つて、また本条を以つて右弁済充当を否定する反対解釈の根拠とすることは不当である。
            かくの如く制限超過の利息・損害金の支払につき、元本等の残存債務のある場合に、これに対する弁済充当を認めることは、法の禁止に反して、超過部分の支払をなした債務者とこれが支払を受領した債権者との双方の関係を衡平ならしめる所以であり、常に支払をなした債務者のみに不利益を帰せしめる不公平を是正し、本法の目的である債務者保護の趣旨に副うものといえよう。
            なお弁済の充当について一言私見を述べれば、利息についての制限超過部分の支払は元本に法定充当されるのであるが、元本債権が未だ弁済期にない場合であつても、これに充当されるものであることは、民法四八九条、四九一条により明らかである。そして、弁済期前の元太債権に充当する場合には、弁済期までの制限内の利息を附して充当すべきものと解する(同法一三六条二項)。また、数個の債務のある場合は先づ債務者の指定した利息についての元本に充当し、なお残余があれば他の債務に同法四八九条、四九一条により充当すべきものである。右の如く弁済期前の元本に充当するとすれば、超過部分の利息の返還の問題を生ずる場合は比較的すくないのであるが、この点につき、昭和二九年三月二二日衆議院法務委員会において政府委員は「利息制限法一条二項が実際に問題となるのは元利金を支払つたあとになつて、実はあの支払額は限度を越えた率を支払つたものであるということを理由として、債務者の方から返還の請求をすることができるかという場合に、実益のある規定であつて、途中で債権者の方から限度超過の利息の支払を元本に入れないで、元本の支払を請求することはできないのである」 (第一九回国会衆議院法務委員会議録二八号)旨の説明をしているところから見ても、同条二項の超過部分の返還請求の問題の生ずるのは、元利金を支払つた後に起る問題であることは、本法立案当局も始めから予定していたものというべく、従つて、右の如き関係にあるからといつて、同法一条二項の規定が無意味になるものとして超過利息の元本充当を否定する理由とはならない。

          裁判官斎藤朔郎の補足意見は、次のとおりである。
            法律に違反したことが行われて、後日それが裁判上の問題となつた場合に、裁判所はその行為の効力を否定するのが通常の事態であつて、ある行為を無効と定めながら裁判上その無効を主張できないものとすることは、むしろ異例のことといわねばならない。高利の禁止という政策を法律の力で画一的に達成せしめることは、実際上かえつて弊害を伴うおそれもあるので、無効としながらも裁判による助力をあたえないという線で放任するということも、一つの異例の措置として理解できる。しかし、債権者は債務者の任意に支払つた制限超過利息(遅延損害金をふくむ。以下同じ。)の返還請求を受けないということだけでも、極めて有利な立場に立つている上に、さらに残存元本の支払をも請求できるというのであつては、利息制限法の立法、趣旨である債務者の保護は実際上ほとんど失われてしまう。私の考えでは、裁判所は、債務者のために、その任意に支払つた制限超過利息の返還の請求を認めないとともに、債権者のために、制限超過利息の支払を受けながらなお残存元本の支払を請求することを認めない。すなわち、裁判によつて事を処理する場合には、問題の金額に関するに限りにおいては、債権者・債務者いずれの側からするも新規の金銭の出し入れをなさしめないで、その当時の金銭支払関係の現状をもとにして、高利の禁止という立法の目的にかなつた解決をあたえるのが最も公平の理念に合する措置であると考える。
            法律の解釈には、おのずから一定の限度があるのであつて、一部の学者の主張するように、法文の文理を無視した自由奔放のものでないことはいうまでもない(拙稿・悪法再論議、ジュリスト八五号三八頁以下参照)。しかし、その限界内と考えられる範囲内においては、公平とか信義誠実とか具体的妥当性などという、いわば民事法分野ににおける超法規的一般原則によりょく適合するような解釈を採ることが、法を運用するに当つての基本的態度でなければならぬ。私は、反対意見の見解が法律解釈の限界内であり、多数意見の見解がその限界を逸脱するものとは考えない。どちらの解釈も現行法の文理と必ずしも矛盾するものでなく、そのいずれを採るかは、前記一般原則の理念に、いずれがよりよく適合するものと考えるかの選択の問題にすぎないと信じる。

          裁判官石坂修一の反対意見は次の通りである。
            わたくしは、当裁判所の判決(昭和三五年オ第一〇二三号同三七年六月一三日大法廷言渡)に示された多数意見は正当であり、なほ維持すべきものであつて、遽に変更すべきものでないと思料する。この多数意見に従つて本件における多数意見に反対する。
            
          裁判官横田正俊の反対意見は、つぎのとおりである。
            私は、以下述べる理由により、当裁判所大法廷の判例の結論を維持するのが相当であると考えるから、多数意見には同調しかねる。
          (一)等しく金銭を目的とする消費貸借といつても、貸主は、各種銀行から市井の貸金業者、個人に至るまでその種類は多く、借主も大企業、中小企業から一般消費者に至るまで多種であり、借り受けの目的も多様である。そして、経済の一般原則にしたがえば、金銭貸付の対価である利息も、その時の一般的な金融情勢(貸し手市場か、借り手市場か)のほか、(一) 貸主のもつ資金の多寡、(二)貸付に用いられる資金が安いものか高いものか、(三)借主の信用度、すなわち回収が確実であるかどうか(貸し倒れの危険があるかどうか)、(四)貸付又は回収の手続に費用がかかるかどうか等の諸要因により左右されるはずのものであるから、消費貸借における利息又は損害金の約定も、一般の取引におけると同様、一応は契約自由の原則に委せ、ただ借主に余りに不利益なものだけを、民法九〇条のような一般条項ないし旧利息制限法五条のような特別の救済規定により、裁判上これを是正すれば足りるということも考えられないではない。しかし、それでは借主の保護に不十分なので、立法措置をもつて、利息又は損害金につき適当と認められる最高基準を定め、これを超える部分につき約定の効力を否定することが必要とされるのであり、いわゆる利息制限立法がこれに当るのである。しこうして、利息制限法令においても、他の統制法令におけると同様、適当と認めた基準を一度定めた以上は、経済界の実態がどうあつても、また経済界にある程度の摩擦を生ずることがあつても、これを強行するという強い立場が、まず考えられる。しかしながら、他面において、その基準が必ずしも適切でないことから生ずる不都合や摩擦はできるだけ避けられなければならない。ことに、借主保護の理想に急な余り、経済界の実情に余りにもかけ離れ、金融機構(とくに、信用の乏しい者も、比較的に安い利息で、しかも返済し易い方法で金銭が借りられるような機構)の整備、充実をまたないで、余りに厳格な規制を強行するときは、金融梗塞という借主のためにはならない結果又は闇金利の横行というような法律軽視の風を招来するおそれのあることも反省されなければならない(宅地、住家の借主の保護を目的とした地代、家賃統制法令その他の法令の実施が、健全な住宅政策の裏付けを欠いたため、住宅難という借りる者に不利益や結果や、闇取引の公然たる横行という現象をもたらしたことは、周知のとおりである)。したがつて、利息等の制限に関し最高の基準を法定した場合においても、金融市場の複雑性にかんがみ、これを全面的に強行することが必ずしも適当でないと認められるときは、これに対するなんらかの緩和策を同時に併せ構ずることは、決して理由のないことではない。
          (二)ところで、現行のわが利息制限法の規定を概観するに、同法は、利息の約定と損害金の約定とに分ち、元本額のいかんにより三段階の最高利率を定め(損害金のそれは利息のそれの二倍)、これに違反する契約は、超過部分につき無効とする(一条一項、四条一項)反面、債務者が右超過部分を任意に支払つたときは、その返還を請求することができない旨を規定(一条二項、四条二項)しているのである。右によれば、同法は、利息等の最高基準を法定しながら、これを絶対的に強行するという態度をとらず、旧利息制限法下においてすでに判例として確定されていた原則を法規に定着させることにより、右制限に対する緩和策を併せ規定しており、しかもその緩和策の核心を、債務者の任意の支払という点に置いていることが知られるのである。詳細は後に譲り、右緩和策の意義を大まかにとらえてみるならば、右制限法は、同法に規定する保護を受けるかどうかを債務者自身の意思にかからせ、債務者が法による制限を敢て主張しないで、制限超過の利息等を任意に支払つたときは、裁判所としても、その意向にしたがうこととし、後日に至つて債務者が法による保護を主張しても裁判所はこれに応じた是正措置を構じないこと(蒸し返しをしないこと)を明らかにしているものと理解されるのである。
          (三)つぎに、右緩和策たる法一条二項、四条二項の意義につき、やや詳細な検討を試みることとする。
            (い)右各法条については、悪法であるという批判もあり、それは、ひつきよう、債務者の任意の支払といつても、それは実質的には半ば強制された支払にほかならないから、そのようなことによつて、借主の保護を目的とする法の適用を緩和すること自体が不合理であるということを理由とするもののようである。しかし、そのように割り切つてしまうことができるであろうか。もとより(イ)債務者が債権者の強迫(脅迫)により超過部分の支払をした場合(民事的には強迫、刑事的には恐喝に当る)や、利息の天引の場合などのように、債権者の直接の強制によつて支払又は控除が行われた場合には、債務者の意思にそつたとしても、とうてい前示各法条にいう任意の支払と認めえないことはいうまでもないが、(ロ)高利ではあつても、きわめて適時の融資により債務者が企業上又は生活上の危機を乗り切ることができた場合や、その資金の運用により債務者が多大の収益を上げることができたような場合には、制限超過部分の支払も、きわめて任意であることがありうる。そして(ハ)その他の場合における債務者の支払の任意性は、右(イ)(ロ)両極端の中間に位し、その任意性の程度には、具体的事情のいかんによりかなりの差異がありうることを認めなければならない。しかし、任意性の程度いかんにより法律上の取扱を差別することは困難なことであるから、いやしくも任意性が認められるかぎりにおいては、債務者はそれぞれの考えがあつて支払つているものと認め、一律に、その意向にしたがつて事を処理することとしても必ずしも不合理とのみ断定することをえない。旧利息制限法下における裁判例が債務者の任意の支払いに特別の意義を認めているのも、単に旧法が「裁判上無効」という規定の仕方をしているという形式的な理由だけからではなく、以上に述べたようなことを、その実質的な理由としているのではないかと思われる。
            (ろ)右各法条は、制限超過部分の返還を請求しえない旨を規定するに止まるから、単に不当利得の返還請求が制限されているに過ぎないとするのが多数意見であるが、前述のごとく、右各法条による緩和策の意義が、債務者の意向を汲み、裁判所としては、後日、敢てこれに介入しないという点にあるとするならば、債務者のした任意の支払は、制限超過部分については非債弁済であるが、有効なものとし、債務者が後日に至り不当利得としてその返還を求めても裁判所はこれに協力しないのはもちろん、債務者が任意に指定充当した弁済もこれを有効なものとし、債務者が後日に至り、制限超過部分についての充当の指定は無効であるとして民法四九一条による法定充当を主張しても、裁判所はこれに応じて同法による是正措置を講じないというのが右各法条の趣旨であると解するのが最も自然であり、かつ権衡のとれた解釈である。なお、多数意見は、法二条の規定を法定充当説の論拠の一としているが、制限超過利息の天引の場合には、実質的にみて、右天引部分については消費貸借の要物性が認められないばかりでなく、前述のごとくその控除についての債務者の任意性が全く認められないから、その部分は、まだ弁済期の到来していない元本の支払に充てたものとみなすというきわめて特異な取扱いをしているのであつて、このような特異の規定の存在が一般の任意弁済の場合における法定充当を理由づけるものとは考えられない。
            (は)法定充当説は、次の諸点から考えても妥当なものとは思われない。
              (イ)元本の弁済期が未到来の場合には、多数意見の法定充当説も、任意に支払われた利息の制限超過部分の元本えの法定充当を認めるものではないと解されるが(これを認めるとすれば、法一条二項の規定はほとんど適用の余地のない無意味なものとなるからである。)、この場合においては、ただ弁済期のすでに到来した(1)他の利息債権又は(2)別日の元利金債権えの法定充当が問題となる。そして、
                (1)利息を定期に支払うべき場合において、当期の利息を次期の利息の弁済期前に支払えば、次期の利息えの法定充当は行われないのに反し、その弁済期後に支払えば、次期の利息に法定充当されることとなり、利息支払の時期いかんによりきわめて不権衡な結果を招来するばかりでなく、計算関係を複雑にする。
                (2)民法四九一条は、数個の債務がある場合にも適用されるから、ある口に任意弁済された利息の制限超過部分は、すでに弁済期の到来した別口の債権の利息、損害金ないし元本の債権に法定充当されることとなり、これらの債権のない場合との権衡を失するばかりでなく、計算関係を当事者の予想に反したきわめて複雑なものとする。この点は、後述の損害金の弁済についも同様である。(弁済期を異にする三口の元本債権がある本件の場合は、正にこれに該当する)。
              (ロ)元本の弁済期が到来した後には、法定充当説にしたがえば、元本が残存するかぎり利息又は損害金の制限超過部分は元本に法定充当されることとなる。そして、弁済は、元本より先に損害金に充当されるものであり、損害金債権が残存しているときは必ず元本債権が残存していることになるのであるから、債務者が支払つた制限超過部分は常に元本債権に弁済され、不当利得返還の問題を生ずる余地はないこととなる(損害金と元本の残額の全部を同時に支払つた場合が考えられるだけである)。したがつて、法四条二項で準用している一条二項の規定を多数意見の説くように不当利得だけに関する規定であると解するならば、四条二項が損害金につき右一条二項の規定を準用しているのは全くといつてよいほど意味のないこととなる。ことに、旧利息制限法は、損害金につき最高利率を定めず、ただ五条の救済規定だけを設け、しかも商事については、この規定すら適用しないものとしていた(商法施行法一一七条)のに対し、現行利息制限法は、民事、商事を区別せず(商法施行法の右規定を削除)損害金の最高利率は利息のそれの二倍に制限するという厳格な態度をとることとした反面、その緩和策として法四条二項の規定を設けていることにかんがみれば、その緩和規定が右のごとく全く意味がなく、利息の場合の緩和策といちじるしく権衡を失したものであろうとは、とうてい考えられないのである。要するに、利息、損害金を通じ、任意に支払われた制限超過部分の元本えの法定充当が否定されればこそ、その超過部分について不当利得の問題が生ずるのであり、不当利得となればこそ、その返還を制限するために法一条二項及び四条二項の規定が設けられているものと解すべきであろう。(なお、奥野裁判官は、補足意見の最後の部分において、政府委員の説明を引用し、法一条二項の超過部分の返還請求の問題を生ずるのは、元利金を支払つた後に起る問題であると説いておられるが、元本の残存するかぎり超過部分は当然に元本に法定充当されるとすれば、元利金を完済した後に起る問題は、超過部分についての不当利得の問題ではなく、元本の過払い、すなわち元本についての不当利得の問題に過ぎないのであるから、結局、法一条二項及び西条二項の規定は無意味な規定というほかはないのである。そして、元本についての不当利得の返還請求の制限については、利息制限法には別段の規定がないのであるから、民法七〇五条の規定が適用されることとなるであろう。)いわゆる悪法は、できるだけ縮小解釈すべきであつて拡張解釈すべきでないとの解釈論は、私も、一般論として肯認しないではない。また、多数意見の強調する借主の保護の必要性もよく理解しうるのであるが、法律の解釈にはおのずから限界があるのであつて、それ以上のことは、明確な立法をもつて解決すべきではないかと考える。

            裁判官入江俊郎、同城戸芳彦は、裁判官横田正俊の右反対意見に同調する。」
        (エ) 同判決の先例としての意味を有するのは,次の部分である。
          「債務者が利息、損害金の弁済として支払つた制限超過部分は、強行法規である本法一条、四条の各一項により無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する支払は弁済の効力を生じない。従つて、債務者が利息、損害金と指定して支払つても、制限超過部分に対する指定は無意味であり、結局その部分に対する指定がないのと同一であるから、元本が残存するときは、民法四九一条の適用によりこれに充当されるものといわなければならない。」
           被告の主張は,これを無視したものであり,理由がない。
    (3) 「②」について
      ア 被告の主張
          利息制限法1条2項の規定にかかわらず,過払金返還請求権が認められるのは,元本消滅による金銭消費貸借取引の終了により利息制限法1条2項の適用が排除されるため(最高裁昭和43年11月13日判決)(以下,略)
      イ 原告の認否及び反論
        (ア) 否認及び争う。
        (イ) 被告は,最高裁昭和43年11月13日判決を切り貼りして,自己に都合の良い作文を行うに過ぎない。
        (ウ) 最高裁昭和43年11月13日判決の理由以下を引用する(原文のまま引用するので,漢数字などは原文のままである。)。
          「理由
            上告代理人三輪長生の上告理由一および二について。
            債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法四九一条により、残存元本に充当されるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和三五年(オ)第一一五一号、同三九年一一月一八日言渡大法廷判決、民集一八巻九号一八六八頁参照)、論旨引用の昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三日言渡大法廷判決は右判例によつて変更されているのであつて、右判例と異なる見解に立つ論旨は採用することができない。
            同三について。
            思うに、利息制限法一条、四条の各二項は、債務者が同法所定の利率をこえて利息・損害金を任意に支払つたときは、その超過部分の返還を請求することができない旨規定するが、この規定は、金銭を目的とする消費貸借について元本債権の存在することを当然の前提とするものである。けだし、元本債権の存在しないところに利息・損害金の発生の余地がなく、したがつて、利息・損害金の超過支払ということもあり得ないからである。この故に、消費貸借上の元本債権が既に弁済によつて消滅した場合には、もはや利息・損害金の超過支払ということはありえない。
            したがつて、債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となつたとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。
            今本件についてみるに、原判決の認定によれば、亡Aは上告人に対する消費貸借上の債務につき利息制限法所定の利率をこえて判示各金額の支払をなしたものであるが、その超過部分を元本の支払に充当計算すると、既に貸金債権は完済されているのに、Aは、その完済後、判示の金額を上告人に支払つたものであつて、しかも、その支払当時債務の存在しないことを知つていたと認められないというのであるから、上告人に対して完済後の支払額についてその返還を命じた原審の判断は、正当である。それ故、論旨は採用することができない。
            よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官横田正俊、同入江俊郎、同城戸芳彦の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
            
          裁判官横田正俊の反対意見は、次のとおりである。
            債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、同法一条、四条の各二項により、債務者において制限超過部分の返還を請求することができないばかりでなく、右制限超過部分が残存元本に充当されるものでもないと解すべきである。その理由については、前掲昭和三五年(オ)第一一五一号、同三九年一一月一八日言渡大法廷判決(民集一八巻九号一八七六頁)における私の反対意見を引用する。
            しかるに、原判決の認定によれば、亡Aが上告人に対する債務について支払つた原判示の各金額は、天引された利息を除き、すべて損害金として任意に支払われたものと解されるのにかかわらず、原審は、右支払額中同法四条一項所定の制限をこえる部分を元本に充当計算し、その結果上告人の貸金債権は弁済により消滅したものと判断して、上告人のした代物弁済の予約完結による建物の所有権取得を無効とし、かつ、右充当計算による元本完済後の支払額の返還を上告人に命じているのであつて、原判決は同法四条二項の解釈適用を誤つたものというべきであり、所論は理由がある。よつて、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すのが相当である。
            裁判官入江俊郎、同城戸芳彦は、裁判官横田正俊の右反対意見に同調する。」
        (エ) 本判決の要旨は,「債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となつたとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
        (オ) 本判決からは,被告が主張するような「過払金返還請求権が認められるのは,元本消滅による金銭消費貸借取引の終了により利息制限法1条2項の適用が排除されるため」という結論は導きようがない。
    (4) 「③」について
      ア 被告の主張
          リボルビング取引のいては,取引の途中で過払金が発生した後も新たな借入れにより貸付元本が発生する予定があることから,取引終了時まで利息制限法1条2項の適用を排除できず,「過払金」は取引終了時まで,貸主・借主どちらの利得とも定まらないことについて(最高裁平成19年6月7日判決)(以下,略)
      イ 原告の認否及び反論
        (ア) 否認及び争う。
        (イ) 被告は,最高裁平成19年6月7日判決を切り貼りして,自己に都合の良い作文を行うに過ぎない。
        (ウ) 最高裁平成19年6月7日判決の理由以下を引用する(原文のまま引用するので,漢数字などは原文のままである。)。
          「理由
              上告代理人水中誠三ほかの上告受理申立て理由第1,第3及び第4について
            1 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
            (1)上告人は,貸金業の規制等に関する法律3条所定の登録を受けて貸金業を営む貸金業者である。
            (2)上告人は,昭和63年6月ころ,被上告人との間で,被上告人を会員とするクレジットカード会員契約を締結し,被上告人に対し,「オリコカード」という名称のクレジットカードを交付した。上記契約には金銭消費貸借に関する契約の条項(以下,この条項を「本件基本契約1」という。)が含まれていたところ,後記(4)記載の期間における本件基本契約1の内容は,次のとおりである。
                ア 借入方法
                    会員は,借入限度額の範囲内において1万円単位で繰り返し上告人から金員の借入れをすることができる。
                イ 返済方法
                    指定された回数に応じて毎月同額の元本及び利息を分割して返済する方法(いわゆる元利均等分割返済方式),毎月末日の借入残高に応じて定められる一定額を返済する方法(いわゆる残高スライドリボルビング方式)又は1回払の方法の中から会員が選択する。
                ウ 借入利率
                    元利均等分割返済方式による借入れにつき原則として年26.4%,それ以外の返済方式による借入れにつき原則として年27.6%とする。
                エ 利息の計算方法
                    前月27日の返済後の残元金に対し前月28日から当月27日までの実質年利(日割計算)を乗じて算出する。
                オ 返済金の支払方法
                    毎月27日に会員の指定口座からの口座振替の方法により支払う。
            (3)上告人は,平成3年12月ころ,被上告人との間で,被上告人を会員とするローンカード会員契約(以下「本件基本契約2」といい,本件基本契約1と併せて「本件各基本契約」という。)を締結し,被上告人に対し,「アメニティ」という名称のローンカードを交付した。後記(4)記載の期間における上記契約の内容は,次のとおりである。
                ア 借入方法
                    会員は,借入限度額の範囲内において1万円単位で繰り返し上告人から金員の借入れをすることができる。
                イ 返済方法
                    翌月に一括して返済する方法又は毎月の借入残高に応じて定められる一定額を返済する方法(いわゆる残高スライドリボルビング方式)のいずれかから会員が選択する。
                ウ 借入利率 年22.6%
                エ 利息の計算方法
                    前月27日の返済後の残元金に対し前月28日から当月27日までを1か月として計算する。
                オ 返済金の支払方法
                    毎月27日に会員の指定口座からの口座振替の方法により支払う。
            (4)上告人は,被上告人に対し,平成3年8月2日から平成16年1月31日までの間,本件基本契約1に基づき,原判決別紙計算表2②の「年月日」欄記載の各年月日に「借入金額」欄記載の各金員を貸し付け,被上告人は,上告人に対し,同計算表の「年月日」欄記載の各年月日に「弁済額」欄記載の各金員を支払った。
                  上告人は,被上告人に対し,平成3年12月24日から平成16年1月31日までの間,本件基本契約2に基づき,原判決別紙計算表2①の「年月日」欄記載の各年月日に「借入金額」欄記載の各金員を貸し付け,被上告人は,上告人に対し,同計算表の「年月日」欄記載の各年月日に「弁済額」欄記載の各金員を支払った(以下,本件各基本契約に基づくそれぞれ一連の取引を「本件各取引」という。)。
            2 本件は,被上告人が,上告人に対し,本件各取引のそれぞれにつき,本件各基本契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると,過払金が発生し,かつ,この過払金を同一の基本契約において弁済当時存在する債務又はその後に発生する新たな貸付けに係る債務に充当してもなお過払金が残存しているとして,不当利得返還請求権に基づき,本件各取引において発生した過払金の支払等を求める事案である。
            3 原審は,前記事実関係の下において,本件各取引はそれぞれが本件各基本契約に基づいて反復して行われた融資取引であること,本件各基本契約においては借入金の利息や返済方法等の基本的な事項が定められていること,本件各基本契約締結の際に重要な事項に関する審査は終了しており,各貸付けの際には事故発生の有無等の消極的な審査がされるにすぎないこと,貸付けと返済は利用限度額の範囲内で頻繁に繰り返されることが予定されていることなどの本件各基本契約と各貸付けの性質・関係に照らすと,本件各取引はそれぞれが全体として一個の取引であり,各取引内において,被上告人が支払った制限超過部分が元本に充当された結果過払金が発生し,その後に新たな貸付けに係る債務が発生した場合であっても,当該過払金は上記貸付けに係る債務に当然に充当されるものと解すべきであると判断して,被上告人の上告人に対する不当利得返還請求を一部認容した。
            4 所論は,過払金の充当に関する原審の上記判断の法令違反をいうものである。
                よって検討するに,同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主がそのうちの一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,弁済当時存在する他の借入金債務に充当されると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1032号,第1033号同15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁,最高裁平成12年(受)第1000号同15年9月11日第一小法廷判決・裁判集民事210号617頁参照)。これに対して,弁済によって過払金が発生しても,その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には,上記過払金は,その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるものということはできない。しかし,この場合においても,少なくとも,当事者間に上記過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するときは,その合意に従った充当がされるものというべきである。
                これを本件についてみるに,前記事実関係等によれば,上告人と被上告人との間で締結された本件各基本契約において,被上告人は借入限度額の範囲内において1万円単位で繰り返し上告人から金員を借り入れることができ,借入金の返済の方式は毎月一定の支払日に借主である被上告人の指定口座からの口座振替の方法によることとされ,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算することとされていたというのである。これによれば,本件各基本契約に基づく債務の弁済は,各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく,本件各基本契約に基づく借入金の全体に対して行われるものと解されるのであり,充当の対象となるのはこのような全体としての借入金債務であると解することができる。そうすると,本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には,上記過払金を,弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。原審の前記判断は,これと同旨をいうものとして,是認することができる。論旨は採用することができない。
                なお,上告人は,取引履歴の開示拒絶の不法行為に基づく慰謝料請求の敗訴部分につき上告受理の申立てをしたが,その理由を記載した書面を提出しないから,同部分に関する上告は却下することとする。
                よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」
        (エ) 本判決の要旨は,「本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には,上記過払金を,弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。」
        (オ) 本判決からは,被告が主張するような「取引終了時まで利息制限法1条2項の適用を排除できず,『過払金』は取引終了時まで,貸主・借主どちらの利得とも定まらない」という結論は導きようがない。
    (5) 「④」について
      ア 被告の主張
          基本契約に基づく継続的金銭消費貸借契約が終了する時点までは,貸主の「受けた利益」は確定しておらず,確定していない「受けた利益に」に対する民法704条の利息を観念する余地もないこと(最高裁平成21年1月22日判決)(以下,略)
      イ 原告の認否及び反論
        (ア) 否認及び争う。
        (イ) 被告は,最高裁平成21年1月22日判決を切り貼りして,自己に都合の良い作文を行うに過ぎない。
        (ウ) 最高裁平成22年1月22日判決の理由以下を引用する。
            「理由
              上告代理人山口正徳の上告受理申立て理由について
              1 本件は,被上告人が,貸金業者である上告人に対し,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると,過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,その支払を求める事案である。
                  上告人は,上記不当利得返還請求権の一部については,過払金の発生時から10年が経過し,消滅時効が完成していると主張して,これを援用した。
              2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
                  貸主である上告人と借主である被上告人は,1個の基本契約に基づき,第1審判決別紙「法定金利計算書⑧」の「借入金額」欄及び「弁済額」欄記載のとおり,昭和57年8月10日から平成17年3月2日にかけて,継続的に借入れと返済を繰り返す金銭消費貸借取引を行った。
                  上記の借入れは,借入金の残元金が一定額となる限度で繰り返し行われ,また,上記の返済は,借入金債務の残額の合計を基準として各回の最低返済額を設定して毎月行われるものであった。
                  上記基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。
              3 このような過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。
                  借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金の返還を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
                  したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。
              4 これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,本件において前記特段の事情があったことはうかがわれず,上告人と被上告人の間において継続的な金銭消費貸借取引がされていたのは昭和57年8月10日から平成17年3月2日までであったというのであるから,上記消滅時効期間が経過する前に本件訴えが提起されたことが明らかであり,上記消滅時効は完成していない。
                  以上によれば,原審の判断は結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
                  よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」
        (エ) 本判決の要旨は,「継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。」
        (オ) 本判決からは,被告が主張するような「基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借契約が終了するまでは,悪意の受益者(である貸金業者)の過払金返還債務も具体的に確定しないこととなり,取引終了時になって『その時点で存在する過払金』に係る不当利得返還請求権を行使できるとしたのである。」とか,「過払金充当合意のを含む基本契約に基づく金銭消費貸借取引の継続中は,過払金は帰属不明の不確定な存在である。よって,基本契約に基づく継続的金銭消費貸借取引の終了前にあっては,利息制限法超過利息が不当利得返還請求権にいう貸主の利得出ると確定しておらず,貸主の利益はないから,その受けた利益に利息を付して返還しなければならないとする民法704条の利息を観念する余地もない。」という結論は導きようがない。
    (5) 不当利得に対する利息の発生時期について-原告の主張
      ア 標記について,先例となる最高裁判所の判例は,最高裁判所第二小法廷平成21年(受)第1192号同年9月4日判決である。この判決の理由以下の部分を引用する。
        「理由
          上告代理人前田陽司,同黒澤幸恵,同菊川秀明の上告受理申立て理由について
          1 金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときは,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。
          2 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
              よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」
      イ このように,本判決は,「貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない。」と明確に結論づけている。
      ウ 被告は,利息の発生時期について,長々と多くの判例を引用して,独自の見解を展開する。しかし,被告の見解は,同判決の存在を無視したものであり,意味のないものである。
      エ 過払金発生の時から,民法704条前段所定の利息が発生する。
  3 「2」について
    (1) 被告の主張
        民法704条の趣旨からも法定利息を付すべき時期は取引終了日の翌日である事について(以下,略)
    (2) 原告の認否及び反論
      ア 全て否認及び争う。
      イ 被告は,長々と独自の見解を展開するに過ぎず,理由とならない。
      ウ 前述のとおり,利息の発生時期について,先例となる最高裁判所の判例は,最高裁判所第二小法廷平成21年(受)第1192号同年9月4日判決である。同判決は,「貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない。」と明確に結論づけている。
      エ 被告は,利息の発生時期について,長々独自の見解を展開する。しかし,被告の見解は,同判決の存在を無視したものであり,意味のないものである。
      オ 過払金発生の時から,民法704条前段所定の利息が発生する。
  4 「3」について
      被告が引用する2つの判例は,どちらも最高裁判所のホームページの判例検索に登載されておらず,また,民間の判例検索さえ登載されていないものである。従って,全く先例としての価値がないことは明らかである。
      また,2つの判例は,前述の最高裁判所第二小法廷平成21年(受)第1192号同年9月4日判決前に出されたものであることから,その先例性がないことはらかである。
      従って,被告が2つの判例を引用することによって,被告が展開する独自の見解を根拠づけることはできない。
  5 「今後の口頭弁論の予定について」
      被告は,法17条書面及び18条書面のサンプルを提出することを予定するのみであり,原告・被告間の取引が貸金業法43条の要件を充足することの主張及び立証を放棄している。
      本件不当利得金返還請求事件における訴訟要件たる主要な事実は,金銭消費貸借契約に基づいてなされた金銭の借入れ及び返還だけである。
      この点については,甲1号証により明白である。
      被告は,悪意の受益者にあたらないとの抗弁を主張するが,その殆どは,被告の独自の見解を前提とした法的評価に過ぎない。
      従って,本件は既に判決に熟したとものといえる。
      よって,原告は,弁論の終結及び判決の言渡を求めるものである。 
      
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