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2010年7月16日 (金)

最近出た交通事故の判決を公開します。

大阪の弁護士です。

平成22年7月16日

直近の判決を紹介します。

平成22年6月24日判決判言渡 同日原本領収裁判所書記官
平成21年(ワ)第11008号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成22年5月31日
判決
(当事者,略)
主文
1 被告は,原告に対し,金1281万6825円及びこれに対する平成18年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
被告は,漂告に対し,金1872万8370円及びこれに対する平成18年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は,原告(昭和45年1月25日生まれ)が,後記2(r)記載の交通事故(以下「本件事故」という。)の発生を理由に,被告に対し,民法709条に基づいて損害賠償請求している事案である。
2 当事者間に争いのない事実
(1)本件事故の発生
ア 日 時 平成18年7月26日午後10時55分ころ
イ 場 所 (省略)先の信号機のある交差点(以下「本件交差点」という。)
ウ 加害車 被告運転の普通乗用自動車(大阪○○○も○○○○)(以下「被告車」という。)
エ 被害車 原告運転の原動機付自転車(枚方市ゆ○○○○)(以下「原告単車」という。)
オ 態 様 原告が原告単車に乗って本件交差点を直進したところ,対向右折してきた被告車と衝突したもの
(2)原告の通院状況と後遺障害等級認定
ア 原告は,本件事故の結果,右脛骨骨幹部骨折及び左足関箇後果骨折の傷害を負い,次のとおり高井病院に入通院して診察・治療を受けた。
(ア)平成18年7月26日から同年9耳15日まで入院
(イ)平成18年9月16日から平成20年4月29日まで通院
(ウ)平成20年4月30日から同年5月8日まで入院
(エ)平成20年5月9日から同年11月5日まで通院
(オ)平成20年11月6日から同月16日まで入院
(カ)平成成20年11月17日から平成21年1月8日まで通院
イ 原告は,平成21年1,月8日をもって症状固定との診断を受け,後遺障害の事前認定において後遺障害等級12級7号に該当すると認定された。
(3)被告の責任原因
被告は,本件事故につき,民法709条の不法行為責任を負う。
(4)原告の被った損害のうちで当事者間に争いのないもの
ア 治療費合計116万9409円
イ 文書料合計5850円
ウ 通院交通費合計34万3220円
エ その他の治療関係費合計1万3280円
オ 休業損害合計1220万7780円
(5)損害の一部填補
原告は,被告の加入していた任意保険から,合計1416万6589円を受領した。
3 争点
(1)当事者間に争いのある損害は,次のとおりである。
ア 後遺障害逸失利益
(ア)原告の主張
① 原告には後遺障害等級12級に該当する後遺障害が残ったこと等から,その労働能力喪失率は14パーセントである。そして,労働能力喪失期間は就労7能年齢67歳までの29年間(年5パーセントの割合で中間利息を控除するライプニソツ係数15.141)とし,基礎収入額は症状固定時の年齢別平均賃金(年額580万9600円)を採用して原告の後遺障害逸失利益を算定すると,1231万4841円となる。
② 原告は,本件事故直前まで株式会社○○○○○(以下「○○○○○」という。)に勤務していたが,原告の親族が経営する会社であった上,原告の会社経営の勉強の側面が大きかったという特別事情があったため,年額約320万円という低額な給与を受けていたに過ぎない。そして,本件事故後である平成20年11月から勤務するようになった財団法人住宅管理協会(以下「住宅管理協会」という。)での勤務形態は非常勤であり,しかも本件事故により受傷した痛みや踏ん張りがきかない等の後遺障害があるために事務等の軽微な労働内容であるにもかかわらず,年額約346万円の給与が支払われている。したがって,後遺障害が残らなければこれよりも多額の収入を得られたであろう蓋然性は高いから,逸失利益算定上の基礎収入額には平均賃金額を採用すべきである。
 また,労働能力の喪失率は長年にわたる統計学的方法から算出されたものであって,これを変更するにはその蓋然性を立証する必要性があるところ,そのような立証はなされていない。さらに,原告の後遺障害は,骨折部位が縦に割れるという完全な癒合の困難なものであり,本件においても骨癒合が完金ではないこと,症状固定するまで事故から約2年4か月もの長期間を要したこと,右足の痛みや力が入らない状態は,本件事故から既に3年10か月を経過した現在も残存していること等に照らせば,生涯,この痛み等の苦痛を抱えていくことになるのは明らかであるから,就労可能年齢67歳まで14パーセントの
労働能力を喪失したとして逸失利益を算出すべきである。
(イ)被告の主張
① 原告が○○○○○から得ていた給与額(年額約320万円・平均月額26万6600円余り)よりも,本件事故後に勤務するようになった住宅管理協会での給与額(平均月額28万8540円)の方が高い。
そして,原告が本件事故直前に独立して行おうとしていた事業の収入額については的確な裏付けはない。
 そうすると,原告が本事故前に比べて減収となっている事実はないことになるから,後遺障害による逸失利益は否定されるべきである。
② 仮に逸失利益が肯定されるとしても,逸失利益算定上の基礎収入額については,平均賃金を採用すべき蓋然性が立証されていないから,事故直前の実収入額(年額320万円)とすべきであるし,平均賃金額を参考にするとしても割合的減額をして採用すべきである。
また,労働能力喪失率は,後遺障害等級12級に該当するからといって14パーセントとすべきではないし,労働能力喪失期間も後遺障害の内容が7動域制限とは言え,年齢を重ねるに従って仕事の質が変わり労働能力に対する影響は少なくなると考えられるから,就労可能年齢である67歳までとすべきでない。
イ 入院雑費
ウ 慰謝料(傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料)
エ 弁護士費用
(2)過失相殺
ア 被告の主張
(ア)原告は,本件交差点において,対向右折待ちの被告車を確認できたはずであるから,前方注視義務を十分に履行していたとはいい難い。
 また,原付自転車が四輪車に続いて走行する場合,その大きさの違い
故に周囲からは認識され難い面があり,殊に本件のように普通乗用車の後続バイクは,対向右折車両からすれば死角となり認識できない状態が生じ易いことに鑑みると,原告は,前車両と十分な車間距離を空けて走行すべきであったというべきである。ところが,原告には,前車との間に十分な車間距離を空けて走行していなかった落ち度がある。
(イ)以上のように原告にも落ち度があることを考慮すれば,少なくとも10パーセントの過失相殺は免れない。
イ 原告の主張
(ア〉原告には前方不注視の過失はない。また,原告には,被告が主張するような走行上の義務(原付自転車で四輪車に続いて走行する場合,対向右折車にaLてもらうために,前車との車間距離を十分に空けて走行する義務)はない。
(イ)さらに,被告は,衝突するまで原告単車の存在に気付いていないものであるところ,本件事故当時が午後!1時近くであって原告単車も前照灯を点灯していたことにも照らせば,対向車線rを走行してくる車両の動静を見落とした著しい過失と評価すべきである。この被告の過失の程度も掛酌すると,本件において過失相殺は認められない。
第3 当裁判所の判断
1 原告の損害額(弁護士費用を除く。)
総合計2719万3068円(請求額3119万2380円)
(1)治療費合計116万9409円(請求額と同額)
 原告の本件事故による治療費の額が合計116万9409円であることは,当事者間に争いがない。
(2)文書料5850円(請求額と同額)
 本件事故と相当因果関係のある損害として認められる文書料は,合計5850円である。
(3)通院交通費合計34万3220円(請求額と同額〉
 本件事故による治療のために要した通院交通費の額が合計34万3220円になることは,当事者問に争いがない。
(4)入院雑費合計10万8000円(請求額と同額)
 入院雑費は,1日当たり1500円をもって相当と認められるところ,入院日数が72沼間である(甲3)から,合計10万8000円となる。
(5)その他の治療関係費合計1万3280円(請求額と同額)
 原告が要したその他の治療関係費が合計1万3280円であることは,当事者間に争いがない。
(6)休業損害 合計1220万7780円(請求額と同額)
 本件事故による原告の休業損害の額が1220万7780円であることは,当事者間に争いがない。
(7)後遺障害逸失利益 合計841万5529円(請求額1231万4841円)
ア 被告は,本件事故前と本件事故後を比べても減収がないから逸失利益は否定すべきである旨主張する。
 しかしながら,将来にわたって逸失利益が発生していないと言えるためには,口頭弁論終結時点までの間に減収が発生していないだけでは足らず,将来にわたって減収が生じないと認定できなければならないから,本件事故前後の実収入に関する背景事情,後遺障害の内容,将来の昇進・昇給等における不利益の有無,業務への支障やそれによる影響の有無・程度,退職・転職の可能性,勤務先の規模,本人の努力の有無・程度,勤務先の配慮等を総合的に考慮して逸失利益の有無を判断するのが相当である。これを本件においてみると,①原告本件事故前に勤務していた○○○○○から受給していた給与額が比較的低額に抑えられていたのは,原告の親族が複数関与する会社であり,親族間を背景とした事情が影響していたと窺われること(甲8,原告本人),②原告が現在就職している住宅管理協会での身分は,1年契約の嘱託職員という不安定なものであること(甲8,原告本人),③原告には右足関節の機能瞳害の後遺障害が現実に残っており(甲4),本件事故前のように建築現場で作業することも困難であるし,正座もできないために営業職に就くことも困難であると予想できること(甲8,原告本人)等の諸事情を総合勘案すると,労働能力の低下による財産上の損害があるといわざるを得ず,後遺障害による逸失利益は肯定すべきである。
イ 次に,労働能力の低下の程度(労働能力喪失率や喪失期問)は,労働省労働基準局長通達(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考としつつ,原告の職業,年齢,後遺障害の内容(部位や程度を含む。),事故前後の稼働状況等を総合的に判断して評価することになる。
 これを本件においてみるに,原告の後遺障害(右足開節の機能障害)は疼痛によるものだけでなく,縦に割れるように骨折したために完全に骨癒合するのが難しい症例で,症状固定までに2年半を要した(甲7)ため,拘縮等が想定される上,骨折した箇所の痛みが現在も残っていること(甲3,7,8,原告本人)等の事情も総合勘案すると,症状固定時において労働能力の14パーセントを喪失し,これが就労可能隼齢67歳までの29年間継続する(年5パーセントの割合で中間利息を控除するライプニッツ係数は15.1411である。)と評価するのが相当である。
ウ 逸失利益額算定上の基礎収入額については,本件事故前後の実収入額と大きく乖離した額を採用するのは相当でない上,本件事故当時の事業による収入額を裏付ける資料もないことを考慮すると,平成20年賃金センサス・男子労働者・対応年齢平均賃金額(年額567万1500円)の7割相当額(年額397万0050円)を採用するのが相当である。
そうすると,原告の後遺障害による逸失利益の額は,
397万0050円×o.14×15.1411
≒841万5529円(円未満切捨て)
となる。
(8)慰謝料
ア 傷害慰謝料 213万円(請求額と同額)
 原告の受傷部位や程度,本件事故日から症状固定までの入通院期間等の諸事情を総合勘案すると,原告の傷害慰謝料の額は,213万円をもって相当と認める。
イ 後遺障害慰謝料 280万円(請求額290万円)
 原告の後遺障害が後遺障害等級12級に該当すると認定されていること等の事情を総合勘案すると,原告の後遺障害慰謝料の額は280万P3をもって相当と認める。
2 過失相殺について
(1)証拠(甲1,2の(1)ないし(5>)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。
ア 被告は,被告車を運転し,信号機のある本件交差点南入口付近において,対向直進車の通過を待っため,一時停止した。
イ その後,被告は,信号に従って本件交差点を右折進行するに当たり,右折先に気をとられ,通過を待った対向直進車に後続して進行してくる車両の有無及びその動静を確認しないまま右折進行した結果,折から対向直進してきた原告単車と衝突した。被告は,衝突するまで原告単車の存在に気付かなかった。
(2)上記(1>の認定事実を前提にすると,①本件事故は,信号機のある交差点における直進単車と対向右折四輪車の衝突事故であること,②被告は,衝突するまで対向直進してくる原告単車に気付かなかったものであり,前方注視を怠った過失の程度は極めて大きいと評価できること,③他方,原告も,対面青色信号であったとしても,対向右折車の有無等の安全を確認しながら直進すべきであったところ,そこに関する注意を払わなかった点で落ち度があったといえること,の諸点を指摘できる。
 これらの諸事情を総合勘案すると,本件事故における過失割合は,被告が95パーセント,原告が5パーセントとするのが相当である。
(3)そこで,前記1(1)ないし(8)判示金額の合計額(2719万3068円)に上記割合に応じて過失相殺すると,2583万3414円(円未満切捨て)となる。
3 損害の一部填補
(1)原告は,前記「第2」2(5)記載のとおり,被告の加入していた任意保険から合計1416万6589円を受領している。
(2)したがって,前記2(3)判示金額(2583万3414円)から上記(1)記載の合計金員(1416万6589円)を控除すると,1166万6825円となる。
4 弁護士費用. 115万円(請求額170万2579円)
 弁論の全金趣冒によると,原告が本件訴訟の提起及び追行を原告訴訟代理入弁護士に任し,相当額の費用及び報酬の支払を約束していることを認めることができるところ,本件事案の性質,審理の経過及び認容額等を考慮すると,原告が本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は,115万円をもって相当と認める。
5 結論
 よって,原告の本件請求は,被告に対し,前記3(2汲び4記載金額の合計r281万6825円及びこれに対する平成18年7月26日(本件事故日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。

本判決は,大阪の弁護士がワープロを平打ちしたものです。誤字脱字については,ご容赦下さい。

本判決の特徴については,近日,大阪の弁護士が開設しているサイトで公開しますので,お待ち下さい。

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<a href="http://www.minami-morimachi.com/">南森町佐野法律特許事務所</a>
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<a href="http://kotsu-jiko.net/">交通事故NET</a>
を御覧下さい。

損害賠償額については,
<a href="http://www.dots2.com/">交通事故の損害賠償額 大阪の弁護士が解説します。</a>
を御覧下さい。

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