交通事故 判決

2011年10月20日 (木)

交通事故判決(第3話)

長くなりすぎました。これ以上は,字数制限に引っかかりますので,「被告の主張」以降は,明日以降掲載します。

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2011年10月 5日 (水)

交通事故判決(をの2)

平成23年10月5日

大阪の弁護士です。

ご無沙汰しております。
非常に多忙で,毎日,家に帰るのは午前様です。
今日も,相変わらず,事務所で仕事をしています。

9月に当事務所で請け負っている交通事故の損害賠償請求事件について,判決が出ましたので,公開します。

ほぼ完全勝利の事案でした。

今日は,先日の続きから,始めます。

主な争点は,
1 過失割合
2 逸失利益の残存期間

結果は,
1 90対10
2 67歳まで

被告控訴

(被告の主張)
ア アについては不知。
イ イについては否認する。後遺障害診断書上,自覚症状として右肘と左膝の痛みとの記載があるが,診療録上は,原告が日頃から疼痛を訴えていた事実は見受けられず,平成20年8月26日には疼痛なしという意味の記載があるのであり,画像所見やリハビリの状況に鑑みて後遺症に該当するような永続的な痛みはなかったと判断できる。また,平成20年1月30日のリハビリ計画書においては,「食事」「整容」「トイレ」「入浴」「更衣」「排便管理」「排尿管理」の評価は満点であるから,日常生活動作において,後遺障害として長期にわたって影響を与えるような機能障害はなかったと判断でき,後遺障害が不変と評価すべきではなく,後遺障害等級は14級に止まるというべきである。
(3) 損害額
(原告の主張)
ア 治療費187万1260円
イ 入院雑費18万6000円
ウ 通院交通費3万4400円
エ 文書料・材料器材2万5090円
オ 休業損害204万円
原告は,本件事故当時,有限会社豊ルーフテック(以下「訴外会社」という。)に勤務して,工場,体育館等の屋根を葺く建築板金の業務に従事していたもので,給与月額40万円であったが,その休業期間は,①平成19年11月16貝から平成20年4月30日まで暦日数167[ヨ(労働日数134日),②平成21年1月20日から同年2.月10日まで暦目数22日(労働日数19日)であったから,休業損害は,40万円に5.1月を乗じた前記金額となる。
カ 傷害慰謝料239万円
キ 後遺症逸失利益1246万6135円
原告は,症状固定時36歳であり,賃金センサス平成19年度第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,男性労働者の金年齢平均賃金571万0500円を基礎収入とし,後遺障害等級12級として労働能力喪失率14%,労働能力喪失期聞を31年(ライプニソツ係数15.593)とすると,後遺症逸失利益は前記金額となる。
ク 後遺症慰謝料 290万円
ケ 物損(原告車及び着衣等) 9万4850円
以上合計2200万7735円
コ 既払い金 344万円
以上差引合計 1856万7735円
サ 弁護士費用 185万6773円
総計 2042万4508円
(被告の主張)
ア 否認ないし争う。
イ 平成20年12月25日の単純X線像で,左膝蓋骨周囲にワイヤー固定がされ,右尺骨近位端前方部にミニスクリュー2本で固定されており,1本が折損していたが,平成21年6月8日の同像で,左膝蓋骨は抜釘済みで,骨癒合できており,また,アライメントも良好であり,右尺骨は変化がない。
治療の経過,症状等の推移をみると,現場指示を中心とする職務であれば,遅くとも4月初旬からは就労復帰が可能であったというべきで,妥当な休業期間は平成20年3月末ころまでである。また,医学的には労働能力の喪失はない。
また,関節内の骨折については,治療が良好でも疹痛や可動域障害が残る可能性が高いが,原告の場合は,左膝には可動域の障害はほとんど残っておらず,肘に関しても,スクリューにより閾節面の適合性が良好で強固な園定を得ているのであり,骨性の要素で永続的に可動域が制限されることは考えがたく,時問の経過に従って改善される可能性が高い。従って,労働能力喪失期閥は数年程度とするのが妥当である。
ウ 原告の収入は,本件事故前年の平成18年が425万円,平成19年が43J万円,平成20年が442万円と増加しており,減収がないので,逸失利益はない。

長くなりすぎました。これ以上は,字数制限に引っかかりますので,「被告の主張」以降は,明日以降掲載します。

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2011年10月 3日 (月)

交通事故の判決(9月8日)

平成23年10月3日

大阪の弁護士です。

ご無沙汰しております。
非常に多忙で,毎日,家に帰るのは午前様です。
今日も,相変わらず,事務所で仕事をしています。

9月に当事務所で請け負っている交通事故の損害賠償請求事件について,判決が出ましたので,公開します。

ほぼ完全勝利の事案でした。

主な争点は,
1 過失割合
2 逸失利益の残存期間

結果は,
1 90対10
2 67歳まで

被告控訴

平成23年9月8日判決 同日原本領収裁判所書記官
平成21年(ワ)第19775号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成23年7月28日
判決
大阪府門真市○○ 原告○○
同訴訟代理人弁護士佐野隆久
大阪府枚方市△△
被告△△中霞
同訴訟代理人弁護士△△
主文
1 被告は,原告に対し,金1495万7238円及びこれに対する平成ユ9年i1月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを4分し,その、1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,金2042万4508円及びこれに対する平成19年11月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,原動機付自転車運転中に,被告運転の普通乗用自動車と衝突した事故により,傷害を負った旨主張する原告が,被告に対して,民法709条に基づいて,損害賠償及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。
1 前提事実(証拠等を掲記したものの外,当事者間に争いがない。)(1)次の事故が発生した(以下「本件事故」という。)。
ア 発生日時
平成19年11月15日午後6時25分頃
イ 揚所
大阪府門真市□□地先交差点(以下「本件交差点」という。)
ウ 被害車両同運転者
原動機付自転車(略)(以下「原告車」という。)
原告
エ 加害車両同運転者
普通乗用自動車(略)(以下「被告車」という。)
被告
オ 事故態様
被告が被告東を運転し,本件現場の信号機により交通整理の行われている交差点を信号に従い南方から東方に向かい右折するため,同交差点の中央付近で一時停止した後,右折方向先に気をとられ,対向車両の有無及びその安全を確認しないまま時速約10キロメートルで右折進行した過失により,折から信号に従い北方から対向進行してきた原告車を前方約7.7メートルの地点に初めて認め,直ちに右に転把したが及ばず,原告車前部に被告車前部を衝突させて原告を原告車もろとも路上に転倒させ,よって,原告に左膝蓋骨骨折,右尺骨骨折等の傷害を負わせた。
(2)被告は,本件交差点の中央付近で一時停止した後,発進して右折進行するに当たり,対向車両の有無及びその安全を確認して右折進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,右折方向先に気をとられ,対向車の有無,安金を確認しないまま時速約10キロメートルで右折進行した過失があり,原告に傷害を負わせ,原告車を損壊したものであるから,民法709条に基づき,原告に生じた本件事故による損害を賠償すべき責任を負う。
(3)原告には,右尺骨骨折に伴う右肘関節の機能障害,左膝蓋骨骨折後の左膝
の痛みの後遺障害が残存したが,自賠責における事実認定において,前者は後遺障害等級12級6号に,後者は14級9号にそれぞれ該当し,併合12級となる旨判断された。
2 争点
(1)本件事故の態様,過失相殺
(原告の主張)
原告が交差点に進入した後,対面信号が青色から黄色に変わった。仮に,進入の際に,対面信帯が黄色であったとしても,交差点直前で変わり,停止位置に接近しているため安全に停止することができない場合には,例外的に交差点への進入が許されるから(道路交通法施行令2条1項),青色信号での進入と同視すべきである。そして,被告が,直進車である原告車が逓常の速度で停止線を越えて交差点に入る付近まで来ている時に右折を開始していること,被告に著しい前方不注視があることを考慮すると,過失相殺はなされるべきではない。
(被告の主張)
否認する。
被告は,黄色信号を確認した後に,本件現場交差点に進入しており,被告は,対面信号が変わってからゆっくりと発進して5.2メートル進行し,そこから4.!メートル進行したところで衝突している。他方,原告車は,時速30ないし40kmで走行してきて,停止線のところで対面信号が黄色に変わり,少しアクセルを回して本件現場交差点に進入して衝突しているが,停止線はかなり手前にある上,原告は,早く交差点を抜けるため,アクセルを回しているのであり,それをしなければ,安全に停止できていたはずである。
そうすると,原告車,被告車とも,本件現場交差点に進入した時点における対面信号は黄色か赤色であったことになるから,相応の過失相殺がされるべきである。
(2)原告の入通院状況,後遺障害の程度
(原告の主張)
ア原告は,本件事故により,左膝蓋骨骨折,右尺骨骨折等の傷害を負い,T記のとおり,医療法入孟仁会摂南総合病院(以下「摂南総合病院」という。)に入通院して治療を受けた。

入院平成19年11月15日から平成20年3月8日まで
平成21年1月20日から同月28日まで(合計124日間)通院平成20年3月11日から\/成21年6月8日まで(実日数51日)
イ原告は,平成2/年6月8日,症状固定と診断された。原告の後遺障害の程度は,事前認定のとおり,併合12級に該当する。

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2010年7月16日 (金)

最近出た交通事故の判決を公開します。

大阪の弁護士です。

平成22年7月16日

直近の判決を紹介します。

平成22年6月24日判決判言渡 同日原本領収裁判所書記官
平成21年(ワ)第11008号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成22年5月31日
判決
(当事者,略)
主文
1 被告は,原告に対し,金1281万6825円及びこれに対する平成18年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
被告は,漂告に対し,金1872万8370円及びこれに対する平成18年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は,原告(昭和45年1月25日生まれ)が,後記2(r)記載の交通事故(以下「本件事故」という。)の発生を理由に,被告に対し,民法709条に基づいて損害賠償請求している事案である。
2 当事者間に争いのない事実
(1)本件事故の発生
ア 日 時 平成18年7月26日午後10時55分ころ
イ 場 所 (省略)先の信号機のある交差点(以下「本件交差点」という。)
ウ 加害車 被告運転の普通乗用自動車(大阪○○○も○○○○)(以下「被告車」という。)
エ 被害車 原告運転の原動機付自転車(枚方市ゆ○○○○)(以下「原告単車」という。)
オ 態 様 原告が原告単車に乗って本件交差点を直進したところ,対向右折してきた被告車と衝突したもの
(2)原告の通院状況と後遺障害等級認定
ア 原告は,本件事故の結果,右脛骨骨幹部骨折及び左足関箇後果骨折の傷害を負い,次のとおり高井病院に入通院して診察・治療を受けた。
(ア)平成18年7月26日から同年9耳15日まで入院
(イ)平成18年9月16日から平成20年4月29日まで通院
(ウ)平成20年4月30日から同年5月8日まで入院
(エ)平成20年5月9日から同年11月5日まで通院
(オ)平成20年11月6日から同月16日まで入院
(カ)平成成20年11月17日から平成21年1月8日まで通院
イ 原告は,平成21年1,月8日をもって症状固定との診断を受け,後遺障害の事前認定において後遺障害等級12級7号に該当すると認定された。
(3)被告の責任原因
被告は,本件事故につき,民法709条の不法行為責任を負う。
(4)原告の被った損害のうちで当事者間に争いのないもの
ア 治療費合計116万9409円
イ 文書料合計5850円
ウ 通院交通費合計34万3220円
エ その他の治療関係費合計1万3280円
オ 休業損害合計1220万7780円
(5)損害の一部填補
原告は,被告の加入していた任意保険から,合計1416万6589円を受領した。
3 争点
(1)当事者間に争いのある損害は,次のとおりである。
ア 後遺障害逸失利益
(ア)原告の主張
① 原告には後遺障害等級12級に該当する後遺障害が残ったこと等から,その労働能力喪失率は14パーセントである。そして,労働能力喪失期間は就労7能年齢67歳までの29年間(年5パーセントの割合で中間利息を控除するライプニソツ係数15.141)とし,基礎収入額は症状固定時の年齢別平均賃金(年額580万9600円)を採用して原告の後遺障害逸失利益を算定すると,1231万4841円となる。
② 原告は,本件事故直前まで株式会社○○○○○(以下「○○○○○」という。)に勤務していたが,原告の親族が経営する会社であった上,原告の会社経営の勉強の側面が大きかったという特別事情があったため,年額約320万円という低額な給与を受けていたに過ぎない。そして,本件事故後である平成20年11月から勤務するようになった財団法人住宅管理協会(以下「住宅管理協会」という。)での勤務形態は非常勤であり,しかも本件事故により受傷した痛みや踏ん張りがきかない等の後遺障害があるために事務等の軽微な労働内容であるにもかかわらず,年額約346万円の給与が支払われている。したがって,後遺障害が残らなければこれよりも多額の収入を得られたであろう蓋然性は高いから,逸失利益算定上の基礎収入額には平均賃金額を採用すべきである。
 また,労働能力の喪失率は長年にわたる統計学的方法から算出されたものであって,これを変更するにはその蓋然性を立証する必要性があるところ,そのような立証はなされていない。さらに,原告の後遺障害は,骨折部位が縦に割れるという完全な癒合の困難なものであり,本件においても骨癒合が完金ではないこと,症状固定するまで事故から約2年4か月もの長期間を要したこと,右足の痛みや力が入らない状態は,本件事故から既に3年10か月を経過した現在も残存していること等に照らせば,生涯,この痛み等の苦痛を抱えていくことになるのは明らかであるから,就労可能年齢67歳まで14パーセントの
労働能力を喪失したとして逸失利益を算出すべきである。
(イ)被告の主張
① 原告が○○○○○から得ていた給与額(年額約320万円・平均月額26万6600円余り)よりも,本件事故後に勤務するようになった住宅管理協会での給与額(平均月額28万8540円)の方が高い。
そして,原告が本件事故直前に独立して行おうとしていた事業の収入額については的確な裏付けはない。
 そうすると,原告が本事故前に比べて減収となっている事実はないことになるから,後遺障害による逸失利益は否定されるべきである。
② 仮に逸失利益が肯定されるとしても,逸失利益算定上の基礎収入額については,平均賃金を採用すべき蓋然性が立証されていないから,事故直前の実収入額(年額320万円)とすべきであるし,平均賃金額を参考にするとしても割合的減額をして採用すべきである。
また,労働能力喪失率は,後遺障害等級12級に該当するからといって14パーセントとすべきではないし,労働能力喪失期間も後遺障害の内容が7動域制限とは言え,年齢を重ねるに従って仕事の質が変わり労働能力に対する影響は少なくなると考えられるから,就労可能年齢である67歳までとすべきでない。
イ 入院雑費
ウ 慰謝料(傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料)
エ 弁護士費用
(2)過失相殺
ア 被告の主張
(ア)原告は,本件交差点において,対向右折待ちの被告車を確認できたはずであるから,前方注視義務を十分に履行していたとはいい難い。
 また,原付自転車が四輪車に続いて走行する場合,その大きさの違い
故に周囲からは認識され難い面があり,殊に本件のように普通乗用車の後続バイクは,対向右折車両からすれば死角となり認識できない状態が生じ易いことに鑑みると,原告は,前車両と十分な車間距離を空けて走行すべきであったというべきである。ところが,原告には,前車との間に十分な車間距離を空けて走行していなかった落ち度がある。
(イ)以上のように原告にも落ち度があることを考慮すれば,少なくとも10パーセントの過失相殺は免れない。
イ 原告の主張
(ア〉原告には前方不注視の過失はない。また,原告には,被告が主張するような走行上の義務(原付自転車で四輪車に続いて走行する場合,対向右折車にaLてもらうために,前車との車間距離を十分に空けて走行する義務)はない。
(イ)さらに,被告は,衝突するまで原告単車の存在に気付いていないものであるところ,本件事故当時が午後!1時近くであって原告単車も前照灯を点灯していたことにも照らせば,対向車線rを走行してくる車両の動静を見落とした著しい過失と評価すべきである。この被告の過失の程度も掛酌すると,本件において過失相殺は認められない。
第3 当裁判所の判断
1 原告の損害額(弁護士費用を除く。)
総合計2719万3068円(請求額3119万2380円)
(1)治療費合計116万9409円(請求額と同額)
 原告の本件事故による治療費の額が合計116万9409円であることは,当事者間に争いがない。
(2)文書料5850円(請求額と同額)
 本件事故と相当因果関係のある損害として認められる文書料は,合計5850円である。
(3)通院交通費合計34万3220円(請求額と同額〉
 本件事故による治療のために要した通院交通費の額が合計34万3220円になることは,当事者問に争いがない。
(4)入院雑費合計10万8000円(請求額と同額)
 入院雑費は,1日当たり1500円をもって相当と認められるところ,入院日数が72沼間である(甲3)から,合計10万8000円となる。
(5)その他の治療関係費合計1万3280円(請求額と同額)
 原告が要したその他の治療関係費が合計1万3280円であることは,当事者間に争いがない。
(6)休業損害 合計1220万7780円(請求額と同額)
 本件事故による原告の休業損害の額が1220万7780円であることは,当事者間に争いがない。
(7)後遺障害逸失利益 合計841万5529円(請求額1231万4841円)
ア 被告は,本件事故前と本件事故後を比べても減収がないから逸失利益は否定すべきである旨主張する。
 しかしながら,将来にわたって逸失利益が発生していないと言えるためには,口頭弁論終結時点までの間に減収が発生していないだけでは足らず,将来にわたって減収が生じないと認定できなければならないから,本件事故前後の実収入に関する背景事情,後遺障害の内容,将来の昇進・昇給等における不利益の有無,業務への支障やそれによる影響の有無・程度,退職・転職の可能性,勤務先の規模,本人の努力の有無・程度,勤務先の配慮等を総合的に考慮して逸失利益の有無を判断するのが相当である。これを本件においてみると,①原告本件事故前に勤務していた○○○○○から受給していた給与額が比較的低額に抑えられていたのは,原告の親族が複数関与する会社であり,親族間を背景とした事情が影響していたと窺われること(甲8,原告本人),②原告が現在就職している住宅管理協会での身分は,1年契約の嘱託職員という不安定なものであること(甲8,原告本人),③原告には右足関節の機能瞳害の後遺障害が現実に残っており(甲4),本件事故前のように建築現場で作業することも困難であるし,正座もできないために営業職に就くことも困難であると予想できること(甲8,原告本人)等の諸事情を総合勘案すると,労働能力の低下による財産上の損害があるといわざるを得ず,後遺障害による逸失利益は肯定すべきである。
イ 次に,労働能力の低下の程度(労働能力喪失率や喪失期問)は,労働省労働基準局長通達(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考としつつ,原告の職業,年齢,後遺障害の内容(部位や程度を含む。),事故前後の稼働状況等を総合的に判断して評価することになる。
 これを本件においてみるに,原告の後遺障害(右足開節の機能障害)は疼痛によるものだけでなく,縦に割れるように骨折したために完全に骨癒合するのが難しい症例で,症状固定までに2年半を要した(甲7)ため,拘縮等が想定される上,骨折した箇所の痛みが現在も残っていること(甲3,7,8,原告本人)等の事情も総合勘案すると,症状固定時において労働能力の14パーセントを喪失し,これが就労可能隼齢67歳までの29年間継続する(年5パーセントの割合で中間利息を控除するライプニッツ係数は15.1411である。)と評価するのが相当である。
ウ 逸失利益額算定上の基礎収入額については,本件事故前後の実収入額と大きく乖離した額を採用するのは相当でない上,本件事故当時の事業による収入額を裏付ける資料もないことを考慮すると,平成20年賃金センサス・男子労働者・対応年齢平均賃金額(年額567万1500円)の7割相当額(年額397万0050円)を採用するのが相当である。
そうすると,原告の後遺障害による逸失利益の額は,
397万0050円×o.14×15.1411
≒841万5529円(円未満切捨て)
となる。
(8)慰謝料
ア 傷害慰謝料 213万円(請求額と同額)
 原告の受傷部位や程度,本件事故日から症状固定までの入通院期間等の諸事情を総合勘案すると,原告の傷害慰謝料の額は,213万円をもって相当と認める。
イ 後遺障害慰謝料 280万円(請求額290万円)
 原告の後遺障害が後遺障害等級12級に該当すると認定されていること等の事情を総合勘案すると,原告の後遺障害慰謝料の額は280万P3をもって相当と認める。
2 過失相殺について
(1)証拠(甲1,2の(1)ないし(5>)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。
ア 被告は,被告車を運転し,信号機のある本件交差点南入口付近において,対向直進車の通過を待っため,一時停止した。
イ その後,被告は,信号に従って本件交差点を右折進行するに当たり,右折先に気をとられ,通過を待った対向直進車に後続して進行してくる車両の有無及びその動静を確認しないまま右折進行した結果,折から対向直進してきた原告単車と衝突した。被告は,衝突するまで原告単車の存在に気付かなかった。
(2)上記(1>の認定事実を前提にすると,①本件事故は,信号機のある交差点における直進単車と対向右折四輪車の衝突事故であること,②被告は,衝突するまで対向直進してくる原告単車に気付かなかったものであり,前方注視を怠った過失の程度は極めて大きいと評価できること,③他方,原告も,対面青色信号であったとしても,対向右折車の有無等の安全を確認しながら直進すべきであったところ,そこに関する注意を払わなかった点で落ち度があったといえること,の諸点を指摘できる。
 これらの諸事情を総合勘案すると,本件事故における過失割合は,被告が95パーセント,原告が5パーセントとするのが相当である。
(3)そこで,前記1(1)ないし(8)判示金額の合計額(2719万3068円)に上記割合に応じて過失相殺すると,2583万3414円(円未満切捨て)となる。
3 損害の一部填補
(1)原告は,前記「第2」2(5)記載のとおり,被告の加入していた任意保険から合計1416万6589円を受領している。
(2)したがって,前記2(3)判示金額(2583万3414円)から上記(1)記載の合計金員(1416万6589円)を控除すると,1166万6825円となる。
4 弁護士費用. 115万円(請求額170万2579円)
 弁論の全金趣冒によると,原告が本件訴訟の提起及び追行を原告訴訟代理入弁護士に任し,相当額の費用及び報酬の支払を約束していることを認めることができるところ,本件事案の性質,審理の経過及び認容額等を考慮すると,原告が本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は,115万円をもって相当と認める。
5 結論
 よって,原告の本件請求は,被告に対し,前記3(2汲び4記載金額の合計r281万6825円及びこれに対する平成18年7月26日(本件事故日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。

本判決は,大阪の弁護士がワープロを平打ちしたものです。誤字脱字については,ご容赦下さい。

本判決の特徴については,近日,大阪の弁護士が開設しているサイトで公開しますので,お待ち下さい。

また,交通事故について詳しいことをお知りになりたい方は,次のサイトを御覧下さい。
<a href="http://www.minami-morimachi.com/">南森町佐野法律特許事務所</a>
または,
<a href="http://kotsu-jiko.net/">交通事故NET</a>
を御覧下さい。

損害賠償額については,
<a href="http://www.dots2.com/">交通事故の損害賠償額 大阪の弁護士が解説します。</a>
を御覧下さい。

2010年4月13日 (火)

交通事故の判決

お久しぶりです。大阪の弁護士です。

ついこの間,交通事故の判決がおりましたので,ご紹介します。

判決文を平打ちしましたので,誤字脱字があるかも知れませんが,悪しからずご了承下さい。
また,この判決文について,解説を次のサイトに近日,掲載しますので,よかったらそちらも御覧下さい。

交通事故 大阪
http://kotsu-jiko.net/

平成22年4月6日判決言渡,同日原本交付裁判所書記官
平成21年(ワ)第364号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日・平成22年2月9日
判決
兵庫県○○市○○
原告○○○○
訴訟代理人(大阪の弁護士)
東京都○○区○○
被告○○○株式会社
代表者代表取締役○○○
訴訟代理人弁護士○○○○
主文
1 被告は,原告に対し,1273万5785円及びこれに対する平成15年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し,うち1を原告の,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,2280万8396円及びこれに対する平成15年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,道路上に停車した自動車の右扉を,運転手が後方を確認せずに開けたため,傍を自転車で通り抜けようとして衝突したことにより,鎖骨を骨折して変形治癒したと主張する原告が,上記自動車運転手の雇用主を被告として,民法715条に基づく損害賠償とこれに対する上記事故日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実等
(1)平成!5年11月9日午後5時20分ころ,奈良市西大寺栄町2番12号先路上で,被告従業員の○○○○が,運転していた普通貨物自動車(以下「被告車」という。)を道路左側に停車して,右扉付近に立ち乗車しようと扉を開けるにつき,後方を十分に注意して付近を通行する者の安全を確認した上で扉を開ける業務上の注意義務があるにもかかわらず,これを怠り,漫然と右扉を開けた過失により,建踏み自転車で後方から走行してきた原告に被告車の右扉を衝突させて,路上:に転倒させ,原告に左鎖骨骨折の傷害を負わせる事故が発生した。(以下「本件事故」という。その状況は別紙交通事故現場見取図のとおりである。)
(2)被告は○○を雇用しており,○○は被告の業務執行にっき本件事故を惹起したものであり,被告は本件事故により民法715条の賠償責任を負う。(弁論の全趣旨)
(3)原告は,本件事故日から平成16年11月29日まで○○病院で通院治療を受け(実通院自数20日),平成17年7月2日から平成19年3月16日まで○○整形外科へ通院(実通院15日)して,同日症状固定と診断された。その治療費は19万4357円,通院交通費は2250円,文書料は300円を要した。(甲3,4の1ないし3)
(4)原告は,自賠責保険により,左鎖骨の変形治癒により自賠法施行令2条の別表2(以下「後遺障害等級表」という。)の12級5号に該当すると認定され,283万1642円の支払を受けた。(甲5,6,弁論の全趣旨)
2 争点
(1)原告に生じた,前記1(3)以外の損害額(原告の主張)
ア 休業損害1170万3888円
原告は専業主婦であり症状固定時までの1224日休業したから,平成15年賃金センサスによる女性学歴計全年齢の平均賃金349万0300円」をもとに算定すると,休業損害は次のとおり1170万3888円となる。
3490300÷365=9562,9562×1224=11703888
イ 逸失利益803万5753円
症状固定時に原告は31歳の女姓であり,平成/9年賃金センサスによる女性学歴計全年齢の平均賃金346万8800円をもとに,後遺障害等級表12級の労働能力喪失率14%とし,労働可能残年数は36年であるからこの間の中間利息をライプニッツ方式で控除すると,逸失利益は次のとおり803万5753円となる。
3468800×0.14×16.547=8035753
ウ 慰謝料363万円
通院慰謝料は73万円,後遺症慰謝料は290万円が相当である。
エ 弁護士費用207万3490円
(被告の主張)
ア 原告は,左上肢の安静が必要であったとするが,装具は1日か2日で外してしまったと供述しており,また痛みがあったので受診していたとするが,投薬があったのは平成15年11月だけであり,株式会社ベルシステム24での1か月のみ休業があったとみるべきである。症状固定も,平成15年12月以降は積極的な治療は行われていないし,鎖骨骨折は通常6か月で症状固定するといわれているから,平成16年6月21日には症状固定したとみるべきである。
イ 上記アのような治療の経過からして原告に特段の痛みはなかったものと考えられ,結局後遺症は醜状障害のみであるから,逸失利益はないものとすべきである。
ウ エは争う。
(2)過失相殺
(被告の主張)
本件事故は○○が被告車に乗車しようとして運転席側の扉を開けている状態で発生したものであり,原告としては○○が何らかの動きをするであろうことを知り得たのであり,また,○○の体が扉よりも外側に位置しており,その体ないし自転車が接触したと考えられるのに,扉と当たったと原告は供述しており,原告には明らかな前方不注視があった。原告の過失は決して小さいものではなく,20%の過失相殺がされるべきである。
(原告の主張)
本件事故では,被告車の横,原告のわずか2ないし3m前を他の自転車が通過しており,扉の開放を予測させる事情はない。単車との扉開放事故における過失割合は10対90であり,自転車の過失割合を10%減算すると,原告の過失割合は0%となる。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(損害額)について
(1)休業損害346万6393円
甲1,乙1,2,5,6,原告本人(甲10を含む,以下同じ)によれば,次のとおり認められる。
本件事故当時,原告は28歳で,派遣社員として株式会社○○で電話オペレーターとして稼働しており,病気のため介護の必要な実母と奈良市で同居していたが,本件事故後は保存的療法となり,クラビクルバンドで固定していたが,左肩等の痛みのため仕事ができず,派遣会社から求められて退職した。原告は,本件事故前から夫と婚約しており,体調が戻るのを待って婚姻しようとしていたところ,妊娠したため,平成16年7月7日に婚姻届け出をしたが,同年12月ころまでは実母とともに生活していた。
上記妊娠のため,同年4月19日を最後にX線撮影はできなくなったが,同年6月に十分な骨癒合は得られていなかった。同年12月ころから夫とともに○○市で生活するようになり,専業主婦となったが,平成17年1月12日に長男を出産し,奈良市の実母方へ通うなどしていたため,同年7月に伊熊整形外科へ通院するまで8か月余り通院できなかった。同月2日には「骨はOK,変形のみ」と診断され,骨癒合が診断されている。その後の通院は平成18年2月,平成19年3月と間隔が開き,通院回数も多くなく,同月16日の診断で症状固定と診断された。原告は左上肢の固定をしなくなってからも,左肩と腕の痛みを訴え,重い物を持つことができず,布団の上げ下ろしや買い物に夫や義母の手助けを要し,長男出産後は,子供を左手で抱くことができず,授乳も搾乳して与えていた。
上記認定事実によれば,原告は,本件事故後も介護を要する実母とともに生活しており,保存的療法を受けていたことから,家事労働の休業損害が生じており,全く家事労働ができなかったものとは考えられないけれども,平成16年6月にも十分な骨癒合は得られておらず,ど同年7月ころまでは同様の状態が続いたものと推認されることから,本件事故後平成16年7月までの約9か月程度は通常の3分の1程度の家事労働しかできなかったものと認められる。その後平成19年3月16日に症状固定と診断されるまでは,平成18年2月から1年余り通院していないこと,平成17年7月には骨癒合と診断されていることからすると,平成16年8月から平成17年7月までは,妊娠等の影響もあったとはいえ,安静加療の必要があり,通常の2分の1程度の家事労働しかできなかったが,その後の症状固定までの全期間休業の必要があったものとは認められない。
そうすると,平成15年賃金センサスによる女性学歴計全年齢の平均賃金349万0300円をもとに,休業損害を算定すると,次のとおり346万6393円となる。
(3490300÷365×270×2/3)十(3490300÷365×365×1/2)≒3466393(円来満切捨て,以下同じ。)
(2)逸失利益811万0308円
前記第2の1(4)のとおり,原告の後遺障害は後遺障害等級表12級5号と診断されており,これは前記(1)認定のとおり原告が左肩と腕に今でも痛みを感じていること,左鎖骨骨折部の変形治癒という他覚的所見とよく符合している。
被告は,上記後遺症は,醜状障害のみで逸失利益は生じていないと主張するけれども,原告が未だに左肩と腕に痛みを感じてそのために家事育児に支障があること,そのために家事育児に支障があることは前記(1)認定のとおりであり,労働能力は上記等級相応に喪失したものといえるから,被告の上記主張は理由がない。
前記(1)のとおりほぼ症状固定と判断される平成17年7月当時29歳であった原告の逸失利益は,平成17年賃金センサスによる女性学歴計全年齢の平均賃金343万4400円をもとに,67歳まで年5分の中間利息をライプニッツ方式で控除すると,次のとおり811万0308円となる。
3/134900×0.14×16.86'78≒8110308
(3)慰謝料335万円
通院慰謝料は,通院11日数自体は比較的少ないことから,55万円をもって相当と認める。後造症慰謝料は280万円をもって相当と認める。
2争点(2)(過失相殺)について
(1)甲2,原告本人,弁論の全趣旨によれば,本件事故現場は,幅3m程度の片側1車線の両側に幅約1.5rnの歩道がついた直線で駐車禁止の県道であり,南側の歩道にはアーケードが設置されていること,○○は被告車を上記道路の南側,歩道寄りに被告車を停車して運転席側扉を少し開けてそのそばに立っていたこと,原告は自転車で東から西に向けて上記道路の車道上を走行してきたところ,原告は,被告車と○○が立っていることに気付いていたが,2ないし3m前の被告車と中央線との問にある1m程の間隔を自転車が走り抜けたため,これに続いて同じ所を走り抜けようとしたところ,○○が扉を開けたため,これに衝突して,自転車もろともに路上に転倒したことが認めらしる。
(2)前記(1)によれば,○○が後方を確認することなく,運転席扉を開けたことに,本件事故の原因があることは明らかである。
しかしながら,原告は,車道上を走行し,前方に被告車が停止しており運転席扉を少し開けて○○が立っていることに気付いていたのであるから,○○が扉を附けることは予測できたものであり,前方を自転車が通り抜けたからといって,この予見可能性があったことに変わりはなく,全く落ち度がないとはいえない。とはいえ,○○が後方を確認することは,容易でありかつそうすれば原告が近付いていることは簡単に気付けたのであるから,原告の過失割合は5%にとどまる。
3 前記1のとおり,原告の争いある損害額は(3466393+8110308+3350000=)1492万6701円であり,前記第2の1(3)の(194357+2250+300=)19万6907円を加算すると,原告に生じた全損害額は(14926701+196907=)151213608円となる。
前記2の過失割合により過失相殺すると,被告の負担すべき損害額は次のとおり1436万7427円である。
15123608×(1-0.05)≒14367427
このうち,前記第2の1(4)の既払い金を控除すると,(14367427-2831642=)1153万5785円となる。
上記損害額のほか,本件訴訟の内容,経過等一切の事情を考慮すると,弁護士費用120万円も原告の損害とみてよいからこれを加算すると,原告の残損害額は(11535785十1200000=)1273万578513となる。
4 よって,原告の本件請求は1273万5785円とこれに対する遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるけれども,その余は理由がないから,主文の,とおり判決する。
奈良地方裁判所民事部
裁判官○○○○

ドアを開けようとしたときに自転車とぶつかった事件です。
被告は,大手宅配業者でしたので,マスコミ数社からも取材を受けましたが,原告の希望で何も喋っていません。
判決文は,閲覧することが出来ますので,興味のある方は,閲覧して下さい。